新型XJとジャガーのデザインディレクター イアン・カラム氏です。
昨年10月に行われましたpreview press conferenceの際にイアン・カラム氏は来日し、新型XJについてスピーチを行いました。今回はそのスピーチをご紹介します。
皆様ご想像の通り、XJの創造に携わった私と仲間たち全員にとって、今日のこの発表はきわめて特別な機会です。大変に大きな達成感を感じています。
皆が力を合わせ、非常に特別で、非常に完成度の高い車を創りました。
初代XJが登場したのは1968年でした。当時、スコットランドのダンフリースに住む10代の私にとっては、それは世界で最もエキサイティングな車でした。私はそのプロポーションとエレガンスに完全に心を奪われたのをはっきりと覚えています。(中略)
初代XJはまさに革命的な車でした。ラグジュアリーカーに対する人々の考え方を変えてしまいました。JAGUARが望んで求めていた全てがXJに備わっていました。
それは今日的な(モダンな)JAGUARの実に魅力的な表現でした。ですから、今日のJAGUARデザインにとって、その強烈さ…その大胆な精神の中の何かを獲得することは絶対必要なことでした。
私達はその象徴を再構築しようと決めました。初代XJの大胆な精神はそのままに、それを現代風に解釈し直す作業です。
伝統の奴隷になることなく、モダンな方法で!XJは全てを備えた車です。パワフルなスタンス、最も視覚的にエキサイティングなアーキテクチャー…そして、これらの精緻に計算されたプロポーションこそが、このクルマを本物のJAGUARにしているのです。それこそ私達が全力を尽くしたところです。(中略)
新型XJの顔は自信にあふれ、このパワフルなアップライトグリルで大胆なものとなっていますが、これらのスリムなバイキセノンランプによってやわらげられています。
しかし、すべてのデザインの中核をなすのは、細長い涙の形をしたティアードロップ型のサイドガラス、引き伸ばされたティアードロップ型のグラフィックです。シンプルですが、我々の意図を明確に表しています。この形は、視覚的に長く見せる効果を持つと同時に、全体のプロフィールを決定します。この形こそが鍵なのです。私達は「スリーク(流線型)」という言葉を、JAGUARのデザイン言語に取り戻しました。
(中略)
インテリアのアークテクチャーは力強く、美しい弧を描くラインがキャビン全体を取り囲んでいます。美しく弧を描くラインによって奥行きが強調されています。ピュアなアーキテクチャー(構造)によって生み出されたラインは目に優しいデザインになっています。(中略)このピュアなアーキテクチャーを補充するため、ディテールにパワフルな要素を導入しました…明るく、暖かな、宝石のようなハイライトの数々…
喜びと楽しさのためです……。
JAGUARのインテリアは常に中にいることが素晴らしい場所でなければなりませんし、そしていつも人々に微笑みをもたらすものでなければなりません。このクルマのリアは特にピュアです。
リヤパネルのまっさらなキャンバスはシンプルなフォームを残しており、中央にただひとつだけ付けられたJAGUARの「リーパー」が目を引くとともに自身を示します。(中略)
私達は21世紀を象徴するJAGUARを創ったのです。最後に、私にとって良いデザインとは、伝えるべきストーリーを持っていなければなりません。製品がこちらに語りかけてきます。この車は何を伝えているのでしょうか?
フロント部分は「私を見て!」と迫っています。
サイドは、私を「賛美して!」と要求しています。
そしてリアは、見る者から遠ざかりながら「私を忘れることは出来ないでしょう」と語っています。ありがとうございました。